ある日、電話をしていると、あなたが言った。

「今度さ、あの子と二人で会うんだ」

「……そっか」

「楽しみなんだよな」

「うん」

私は笑った。

「よかったじゃん」

その日、電話を切ったあと。

私は鏡の前に立った。

今日のために少しだけ髪を切った。

本当は、あなたに気づいてほしかった。

「髪切った?」

って。

「似合ってるよ」

って。

たったそれだけでよかった。

私が聞きたかったのは、終電の時間でも、好きな人の悪口でもなかった。

あなたの「好き」が私に向いていることだった。

でも。

そんなこと、言えるはずもなかった。