数日後。

あなたから一通のメッセージが届いた。

『今までありがとう』

私はその文字をしばらく見つめた。

そして、ゆっくり返信した。

『こちらこそ』

それ以上は送らなかった。

本当は。

「好きだった」

って言いたかった。

「ずっと好きだった」

って伝えたかった。

でも。

言わなかった。

隠した想いが見つからないように。

最後まで、私はあなたの背中を押す。

あなたが選んだ人と。

あなたが望んだ未来へ。

「幸せになってね」

画面に打ち込んで。

送信する。

これで終わり。

そう思った。

でも。

スマホを伏せたあと、私は小さく笑った。

「……私も、いつか幸せになるから」

誰に聞かせるでもなく、そう呟いた。

あなたを好きになったことを後悔しないために。

叶わなかった恋を、嫌いにならないために。

私はもう一度、机に向かった。

夏休みはもう終わる。

私にも、私の未来がある。

あなたの幸せを願いながら。

私もいつか、自分の幸せを見つける。

それが。

私が最後にあなたへ贈る、「幸せ」だった。