その日の夜。サークルが終わり、家へ向かう足はいつもより重かった。途中、自宅近くの公園で立ち止まる。ベンチに腰を下ろし、何度も深呼吸をしてからスマホを取り出した。詩織の番号を呼び出して通話ボタンをタップする。
しばらくコール音が続く。スマホを持つ手に力が入る。5コール、6コール、7コール———長いコールのあと音が途切れた。
「……詩織?」
繋がった。それだけでほっとした。久しぶりに詩織の声が聞ける。そう思っただけですっげぇ嬉しかった。
「あのさ、」
『今、いないけど』
なのに聞こえてきたのは男の声。一瞬頭が真っ白になる。
「……あんた、誰?」
自分でも低い声が出た。少し間があって相手が答える。
『詩織の恋人です』
頭を強く殴られたような気がした。
詩織の恋人は俺じゃなかったのか?喧嘩しただけだと思っていた。ちゃんと話せば、また笑い合えると信じていた。それとも連絡できなかった一カ月で全部終わってしまったのか。
何も言えず、言葉に詰まる。
「嘘だろ、」
『嘘じゃないです。彼女はあなたを忘れたがってる。もう彼女に関わらないでください』
俺が何か言おうとした瞬間だった。相手はそれを遮るように、一気に言葉を捲し立てて、通話が切られた。耳元で鳴り続ける無機質な機械音だけがやけに遠くに感じた。
「そんな……嘘だろ……」
頭の中に詩織の笑顔が浮かぶ。その笑顔も何もかも、大好きだった。
夜の公園で俺は、声をあげて泣いた。こんなに泣いたのは初めてだった。
詩織はもう、俺の手の届かないところへ行ってしまった。
しばらくコール音が続く。スマホを持つ手に力が入る。5コール、6コール、7コール———長いコールのあと音が途切れた。
「……詩織?」
繋がった。それだけでほっとした。久しぶりに詩織の声が聞ける。そう思っただけですっげぇ嬉しかった。
「あのさ、」
『今、いないけど』
なのに聞こえてきたのは男の声。一瞬頭が真っ白になる。
「……あんた、誰?」
自分でも低い声が出た。少し間があって相手が答える。
『詩織の恋人です』
頭を強く殴られたような気がした。
詩織の恋人は俺じゃなかったのか?喧嘩しただけだと思っていた。ちゃんと話せば、また笑い合えると信じていた。それとも連絡できなかった一カ月で全部終わってしまったのか。
何も言えず、言葉に詰まる。
「嘘だろ、」
『嘘じゃないです。彼女はあなたを忘れたがってる。もう彼女に関わらないでください』
俺が何か言おうとした瞬間だった。相手はそれを遮るように、一気に言葉を捲し立てて、通話が切られた。耳元で鳴り続ける無機質な機械音だけがやけに遠くに感じた。
「そんな……嘘だろ……」
頭の中に詩織の笑顔が浮かぶ。その笑顔も何もかも、大好きだった。
夜の公園で俺は、声をあげて泣いた。こんなに泣いたのは初めてだった。
詩織はもう、俺の手の届かないところへ行ってしまった。
