「ありがとうございました。」
レコーダーの停止ボタンが押され、応接室に静けさが戻った。鞄にレコーダーと資料をしまう藤川を待っていると不意に藤川が呼びとめた。
「佐野さん。」
「はい?」
「仕事とは別に、少し時間をいただけませんか。」
藤川の一言で応接室の空気が変わった。樹は怪訝そうに眉を寄せながら答えた。
「……何のお話でしょうか。」
「仕事とは関係ありません」
「……。」
樹は一瞬だけ考え、頷いた。
「分かりました。夜、仕事終わりでも構いませんか。」
「もちろんです。」
「では19時に会社前の喫茶店で。」
そう言って樹は藤川を見送った。自席に戻ると広瀬が「どうでした?」と興味深そうに尋ねてくる。
「……どうもこうも普通の取材だよ」
「俺が居なくて、ちゃんとやれるか不安だったんですけど」
「お前は……報告書増やすぞ」
広瀬の抗議の声を聞き流しながら樹はパソコンへ向き直った。午後はイベントの運営チームとの進捗確認、スポンサーへの報告書の作成、週末へ向けた最終調整。
気づけば時計の針は18時半を回っていた。
「佐野さん、お先に失礼します。」
「お疲れ」
一人、デスクの上を片付けながら樹はふと手を止める。
——仕事とは別に。
藤川の言葉が頭をよぎる。
「……なんの話だ」
小さく呟き、ジャケットを羽織ると席を立った。
レコーダーの停止ボタンが押され、応接室に静けさが戻った。鞄にレコーダーと資料をしまう藤川を待っていると不意に藤川が呼びとめた。
「佐野さん。」
「はい?」
「仕事とは別に、少し時間をいただけませんか。」
藤川の一言で応接室の空気が変わった。樹は怪訝そうに眉を寄せながら答えた。
「……何のお話でしょうか。」
「仕事とは関係ありません」
「……。」
樹は一瞬だけ考え、頷いた。
「分かりました。夜、仕事終わりでも構いませんか。」
「もちろんです。」
「では19時に会社前の喫茶店で。」
そう言って樹は藤川を見送った。自席に戻ると広瀬が「どうでした?」と興味深そうに尋ねてくる。
「……どうもこうも普通の取材だよ」
「俺が居なくて、ちゃんとやれるか不安だったんですけど」
「お前は……報告書増やすぞ」
広瀬の抗議の声を聞き流しながら樹はパソコンへ向き直った。午後はイベントの運営チームとの進捗確認、スポンサーへの報告書の作成、週末へ向けた最終調整。
気づけば時計の針は18時半を回っていた。
「佐野さん、お先に失礼します。」
「お疲れ」
一人、デスクの上を片付けながら樹はふと手を止める。
——仕事とは別に。
藤川の言葉が頭をよぎる。
「……なんの話だ」
小さく呟き、ジャケットを羽織ると席を立った。
