君の声

 樹の実家へ戻ると、母親が用意してくれていた料理が食卓に並んでいた。
「……味、変わった?」
 一口食べた樹が首を傾げる。
「変わってません。」
 母親が少し不満そうに返す。
「なんか、濃い。」
 不思議そうにもう一口食べる樹を見て、父親が笑う。
「詩織ちゃんの味が、体に染み付いてるんじゃないか?」
 その一言に、樹は「あぁ」と小さく頷いた。
「……かもしれない。詩織、料理うまいから。」
「……そんなことない、です。」
 照れくさそうに首を振る詩織を見て、家族の笑い声が食卓に広がった。