君の声

「……そろそろだよね」
「……だな」
 どちらからともなく力がこもる。それでも樹は詩織の手を引くようにして立ち上がる。ゆっくりと待ってくれていた三人の元へ向かう。
「ちゃんと話せた?」
「うん」
 その時、樹の乗る機体の搭乗案内が流れる。
「今度こそ、行ってこい、だな」
「元気でな」
「頑張ってね」
 京平と拓馬、綾の三人が声をかける。
「行ってらっしゃい」
 詩織が少しだけ瞳を潤わせて言った。樹は繋いだ手を引いて、詩織を抱きしめる。
「行ってくる」
 それだけ告げると、詩織の体を離して歩き出した。その後ろ姿を四人は見送った。