君の声

 ◇

 国際線の搭乗口が見えた。その少し手前。見慣れた後ろ姿を見つける。
(いた!)
 少しずつ遠くなる背中に思わず手を伸ばす。
(やだ、待って……)
「樹くん……」
 零れる声は届かない。足元が絡まり少しだけ前のめりになる。
(行かないで)
(私はまだ)
(何も伝えてない……!)
 強く、そう思った。引き止めたい、ただそれだけだった。
 
「樹————!!!!」

 愛しくてたまらなかった、彼の名を
 気づいたら叫んでいた。