黒塚と別れ、自宅に帰った樹はソファに体を預ける。部屋の隅に置かれたスーツケースが目に入る。机の上にはパスポートや資料が広がっていた。机に置いたスマートフォンが通知を知らせる。樹はスマートフォンを手に取り、メッセージを開く。
『お疲れ様です。今日、社長とお食事に行かれたんですよね?また私とも行ってくださいね』
詩織からのメッセージに思わず苦笑いが漏れた。
『楽しかったよ。白石さんともぜひ』
返信を打とうとした指が止まった。
—— 好きなんだろ? ——
黒塚の言葉が頭を過る。
「だから離れるって決めたんだろ……」
何かを振り払うように頭を振り、送信ボタンを押す。既読が付く前に樹はスマートフォンを伏せた。静まり返った部屋で、スーツケースだけが旅立ちの日を待っていた。
『お疲れ様です。今日、社長とお食事に行かれたんですよね?また私とも行ってくださいね』
詩織からのメッセージに思わず苦笑いが漏れた。
『楽しかったよ。白石さんともぜひ』
返信を打とうとした指が止まった。
—— 好きなんだろ? ——
黒塚の言葉が頭を過る。
「だから離れるって決めたんだろ……」
何かを振り払うように頭を振り、送信ボタンを押す。既読が付く前に樹はスマートフォンを伏せた。静まり返った部屋で、スーツケースだけが旅立ちの日を待っていた。
