先に言葉を発したのは拓馬だった。樹はグラスを回しながら答える。
「まだ分かんねぇ。イベント終わったばっかだし。引継ぎとかもあるし、一カ月くらいはあると思う」
「……じゃあ目一杯飲みに行くか。」
京平の言葉に拓馬が呆れた顔をする。
「お前みたいに酒豪じゃねぇよ、ばか」
バシッと、拓馬が京平の肩を叩く。
「いってぇな、拓馬!」
「……樹、今日は飲もう。」
「おい、無視すんな!」
思わず二人のやりとりに樹は笑う。樹にも分かっていた。二人が何も言わない優しさがありがたかった。それから、もう一度三人でグラスを合わせるとグラスの中を一気に飲み干した。
「今日は、お前かよ……」
「うるへぇ」
樹と拓馬の肩に担がれた京平が零す。目を合わせた二人はため息をついて、捕まえたタクシーに京平を乗り込ませた。タクシーを見送りながら樹が呟く。
「京平、珍しく飲んだな」
「バーボンロックであれだけ飲めばバカでも酔うわ」
「だな」
二人は駅までの道を歩き出した。
「……あいつ、あれで樹が海外行くの寂しいんだろ」
拓馬の言葉に樹は思わず空を見上げる。仲間内で一番情に厚いのは京平だった。
「樹が決めたんなら俺は何も言わないけど。」
樹は空を見上げていた視線を拓馬へ移した。拓馬はただ前を向いて話し続ける。
「後悔だけは、すんなよ」
「……おう。」
何を、とは言わなかった。聞かなかった。ただ黙って二人は夏の夜道を歩いた。
「まだ分かんねぇ。イベント終わったばっかだし。引継ぎとかもあるし、一カ月くらいはあると思う」
「……じゃあ目一杯飲みに行くか。」
京平の言葉に拓馬が呆れた顔をする。
「お前みたいに酒豪じゃねぇよ、ばか」
バシッと、拓馬が京平の肩を叩く。
「いってぇな、拓馬!」
「……樹、今日は飲もう。」
「おい、無視すんな!」
思わず二人のやりとりに樹は笑う。樹にも分かっていた。二人が何も言わない優しさがありがたかった。それから、もう一度三人でグラスを合わせるとグラスの中を一気に飲み干した。
「今日は、お前かよ……」
「うるへぇ」
樹と拓馬の肩に担がれた京平が零す。目を合わせた二人はため息をついて、捕まえたタクシーに京平を乗り込ませた。タクシーを見送りながら樹が呟く。
「京平、珍しく飲んだな」
「バーボンロックであれだけ飲めばバカでも酔うわ」
「だな」
二人は駅までの道を歩き出した。
「……あいつ、あれで樹が海外行くの寂しいんだろ」
拓馬の言葉に樹は思わず空を見上げる。仲間内で一番情に厚いのは京平だった。
「樹が決めたんなら俺は何も言わないけど。」
樹は空を見上げていた視線を拓馬へ移した。拓馬はただ前を向いて話し続ける。
「後悔だけは、すんなよ」
「……おう。」
何を、とは言わなかった。聞かなかった。ただ黙って二人は夏の夜道を歩いた。
