キスから始まる恋は甘くて苦い

『じゃあ、俺と付き合ってみる?』

 あのとき、あたしに言ったみたいに。

 蒼一は答えなかった。無言がそれを肯定していたように思う。
 毎朝一緒に登校してくるふたりは学校でも噂になっていた。蒼一は何もしてなくても目立つから無理もない。

「あのときは、瞳だったから許せたんだけど」
「1年は何も知らないから」
「釣り合ってないよね」

 教室や洗面所、所々で女子のグチが耳についた。

 1年のとき、あたしと蒼は付き合ってたから。

 その期間は半年ほどで終わった。フリーになった蒼一には告白が耐えなかった。
 全部断り続けていたみたいだけれど、ひとりだけ諦めの悪い子がいた。
 同学年の彼女は、自分が付き合えないことを逆恨みして同じような仲間を集めて。

 蒼に近づく子をことごとく邪魔してたな。

 だから、いつのまにか蒼一は近づきがたい存在になっていた。そんなことがなくても誰とも付き合わなかっただろうけれど。