キスから始まる恋は甘くて苦い

 ほたるが店から出てくるのを、なぜか3人で待つことになった。

「おいしかった~! ピザトーストはどうだった?」
「うまかったよ」
「見た目ヤバかったもんね。一口もらえば良かった」
「おまえの一口って大きそうだから、ヤダ」
「え、ディスってんの!?」

 にぎやかだなと、桂の元気の良さに蒼一は思わず笑みを浮かべた。

 この子は飾らない性格なんだな。

 彼女といるときのほたるは自分といるときよりも無邪気に見えて少しうらやましい。

 友達と思われても困るけど。

 いや、どう思われてるかより……俺は優しい先輩でいられてるよな?

 キスはするけど、心は隠したままなのに?

 それは優しいと言えるのか?

 自分の欲望を押し付けてるだけじゃないのか?

「ディスってんじゃなくて、本当のことじゃん」
「はっ? ちょっ、ひどいと思いません?」

 省吾の毒舌に、助けを求めるように蒼一を見やった桂は言葉を止めた。
 考え事をしているようで、真剣な表情で(くう)を見つめている。

 わ……なんてキレイなんだろ。

 にわかに憂いを帯びたその顔は思わず見惚れてしまうほど整っている。

 こんなカッコイイ人が優しくしてくれたら、そりゃあ好きになっちゃうよね。

 ほたるから蒼一の話はよく聞いている。言葉の端々から「好き」という気持ちを感じられるのだけれど、彼女は自分の想いには気づいていないようだった。

 ほたるは(うと)いからなあ。