キスから始まる恋は甘くて苦い

「どうしたんすか? 怖い顔して」

 声を掛けられて我に返ると省吾がこちらを見上げていた。
 彼がほたると同じクラスだったことを思い出し、蒼一は小さくため息を吐いた。

「怖いと思ったんなら、空気読んでスルーしろよ」

 ほたるを見つめていたことがバレてしまった可能性に心の中で舌打ちをする。

「無視しただろって、あとから因縁つけたりしません?」
「俺はそんなセコイ男じゃねえよ」
「ははっ、冗談ですよ」

 省吾はニヤニヤしながら頭ひとつ分背の高い蒼一を見上げた。

「……なんだよ?」
「永瀬のこと、ずっと見てましたね」
「…………」

 意味ありげな笑みを向けられ、省吾の頭へ手刀を振り下ろす。

「いって!」

 加減はしたけれど、つい強めにしてしまった。

「悔しかったら、俺から1本取ってみろよ?」
「望むところですよ」

 省吾は頭をさすりながら蒼一の整った顔を睨みつけた。