キスから始まる恋は甘くて苦い

 いつのまにか、自然な流れでキスをするようになったけれど。

 私たちは、付き合ってるわけじゃない。

 いびつな間柄に不安を覚えながらも、ほたるはこの関係を壊したくないと何度も思ってしまう。

 ほたるの心も手に入れたい。

 そうは思っても、これ以上の愛情表現はできない。
 
 俺は、不誠実なことをしてる。

 その自覚は、十二分にある。

 嫌がられないからって、想いも伝えないでキス目当てみたいなこと……

 もてあそんでるとしか思えねえよな?

 でも、もしかしたら――と期待もしてしまう。
 どこか待っているような素振りを感じることもあるから。

 俺に合わせてる可能性もあるけど。

 そんな風に、蒼一の頭の中は都合の良い解釈と悪い予想がせめぎ合う。
 とろけるような甘いキスのあとは、いつもほろ苦い感覚が残る。
 だから、ボーダーラインを越えられない。

 マジで……じれったい。

 けれど、片想い独特のときめきを味わうのは悪い気分ではなくて……この状況を楽しんでいる節が蒼一にはあった。