キスから始まる恋は甘くて苦い

「話してくれてありがとう」

 話の流れで知ったことだけれど、自分に失望されたくなくて黙っていたと言われたらうぬぼれずにはいられない。
 まるで、慰める資格を得たような気さえする。

「俺、色々無理を言ってたんだな……ごめん」

 同時に勝手な憶測で振り回してしまったことを後悔する。

「先輩は何も悪くありません! 謝らないでください」

 蒼一の腕に力がこもり、ほたるは応えるように彼の背中に手を回した。
 先輩のおかげで目が覚めたのだから。

「私はずっと現実から逃げていました。でも、先輩を見ていて思ったんです。私もがんばらなきゃって」
「ほたる……」

 不安の中に決意を秘めた目から涙が溢れてくる。それを指先で拭うとほたるは我に返ったように目を開いた。

「め、迷惑ですよね……先輩には関係ないことなのに、勝手にこんなこと思われても」

 優しい言葉につい甘えて。
 調子に乗ってしまったかもしれないとほたるは蒼一の顔色を盗み見た。