キスから始まる恋は甘くて苦い

「一口ちょうだい」
「えっ? あ、はい、どうぞ……」

 さっきと同じことにならないよう、指を下げてパンを持つ。差し出されたサンドイッチに蒼一は深くかぶりついた。

「ひゃっ」

 やわらかい感触に、ほたるは思わず声を上げた。

「おかえし」

 蒼一はニヤニヤと笑っている。

 もしかして、わざと?

「もう……意地悪しないでください」

 サンドイッチを食べ終え、そっぽを向いてお茶を飲む。一連の動作を眺め、蒼一は頬のゆるみを抑えられなかった。

「ごめんごめん」

 水を喉に流し込み、気を引き締めてからほたるの左手を握る。

「えっ?」

 びっくりして振り返ると蒼一と目が合った。しっかりとつながれた手に、身動きが取れなくなる。

「指が冷たかったから、あっためようと思って」

 そう言われてしまうと、抗えなくなる。

 私、先輩には弱いのかもしれない……

「……先輩の手は熱いくらいですね」

 ドキドキと鼓動は忙しないのに、気持ちは落ち着いている。徐々にあたたかくなってくる体温に比例して、心にもぬくもりが宿る。

「これは、嫌?」

 反応を見ていると大丈夫そうな気がして指を絡めてみる。ほたるは顔を赤らめながらも拒絶はしなかった。

 なにやってんだ、俺……

 やりすぎていることはわかっているけれど、そばにいるのに触れられないというのは我慢ができなかった。