キスから始まる恋は甘くて苦い

「驚いたな……」

 これは、彼のしわざなのか?

 いつのまに知り合ったのか、詮索するつもりはないけれど。どうやってほたるの心を動かしたのかは純粋に教えてほしかった。
 自分では彼女の気持ちを外へ向かせられなかったから。

「だから、毎日行けなくなると思うので……お姉ちゃんのこと、お願いします」
「……わかった」

 改まって頭を下げてくるほたるに複雑な気持ちになる。
 そもそも、自分がいなければこんなことにはなっていないはずで。信頼されていることに罪悪感すら覚えた。

「これ、雅也さんが持っていてください」

 ほたるがメガネを外して雅也にそれを差し出た。

「えっ……僕が?」
「その方が、お姉ちゃんも嬉しいと思うので」

 信じて疑わない眼差しに負けてメガネを受け取る。

 でも、まひるを傷つけたのは……

 何度も口にしようとして呑み込んできた言葉。

 言ったとしてもキミは認めないだろう。

 事実を知ったら、ほたるが今以上に自分を責めてしまうかもしれないという漠然とした不安が雅也にはあった。