キスから始まる恋は甘くて苦い

「そんなに食べられるんですか?」

 テーブルいっぱいに並べられた料理を眺めているとそれだけでお腹いっぱいになりそうだ。

「このくらい楽勝だろ」

 部活後から何も食べていないので、実は空腹も限界だった。
 ハンバーグ、ドリア、ピザ、ポテト……見ていて気持ちがいいほど豪快に食べていく蒼一。
 こんなに食べるのに細身なのはそれだけ運動量が多いんだろうなと、ほたるは感心しながら眺めた。

「ポテト、食べる?」

 サラダとクリームソースのパスタをのんびりと食べているほたるに勧めてみる。

「はい。いただきます」

 遠慮せずに手を伸ばしてきたので、蒼一はホッと胸を撫で下ろした。

 たぶん、心を許してくれてる。

 初めのころは、大人しくて引っ込み思案な性格なのかと思っていたけれど。話してみると案外社交的で自分の意見をしっかり持っているのがわかった。
 でも、どこかセーブをかけているみたいな瞬間はあった。

『ごちそうさまでした』

 声が重なって、目を合わせる。ほたるがニコリとして、蒼一の心臓はわしづかみされた。

 マジでヤバイ……

 思わず声を出してしまわないよう、ほたるの見えないところで自分の太ももを拳で叩く。
 おそらく自然と出た笑顔だから。変に反応したら瞬時に消えてしまいそうだった。

「出ようか」
「はい」

 ほたるは蒼一が見つめていることも知らず、無意識に笑んだまま席を立った。