キスから始まる恋は甘くて苦い

「先輩、自転車は?」
「……置いてくよ」

 ほたるが思い出したように振り向き、虚を突かれて立ち止まる。

「学校に置いたままで大丈夫ですか?」

 この子はいつも人の心配ばかりする……そう思い、蒼一は頬をゆるめた。

「なんとかなるだろ。ほたると一緒に歩きたい気分だし」

  自然すぎる口説き文句に、答えるのを忘れてしまう。 ほたるは顔を赤くしてうつむいた。
 
 こんなことしてていいのかな……

 同時に罪悪感が込み上げてしまう。
 嬉しいと思ってしまいそうになる心に、慌てて言い聞かせるように。

 あの日起きたことを、忘れたわけじゃないのに――