キスから始まる恋は甘くて苦い

「えぇ? あの、ええと……」
「ほたるちゃんはどうしたい?」

 断れない様子のほたるを見て穏やかに問いかける雅也。

「一緒に来てほしい」

 ささやく声がどこか必死で、ほたるは蒼一を見上げた。

 先輩、どうしちゃったんだろう……

 だんだん心配になり、熟考の末にうなずく。

「わかりました、行きます」

 その答えに、驚いたのは雅也だった。

「本当にいいんだね?」
「保護者かよ」

 雅也の余裕な口調がムカついて蒼一は毒づいた。

「似たようなものかな」
「否定しないのかよ」

 困ったように微笑む彼に、不愉快そうに眉間のシワを深める蒼一。

「雅也さん……」
「行っておいで」

 歩き出したほたるが心変わりしてしまわないよう後押しする。
 雅也はヒヤヒヤしながら、後姿が見えなくなるまでふたりを見送った。

 これで良かったんだよな?

 雅也の目には、安堵と迷いが入り混じっていた。