「お待たせ」
「――お疲れさまでした!」
部活を終えた蒼一が声を掛けると、振り向いたほたるが嬉しそうな笑顔で迎えてくれた。
「じゃ、行くか」
「ちょっと待っててください」
歩き出そうとした蒼一を制してほたるは武道館の入口に方へ向かった。
「なんだよ……」
彼女の姿を目で追い、その先には瞳がいて蒼一はやわらかいため息を吐いた。
「真野先輩」
ローファーの踵を整えていた瞳は呼び掛けられて顔を上げた。
「何か用?」
「報告に来ました」
「なんの?」
瞳が首を傾げたら「蒼一さんと付き合うことになりました」と嬉しそうに言われてしまった。
「そう。なら、もう蒼の辛気くさい顔を見なくて済むわね」
素直に祝福できず、精一杯の皮肉を込めて鼻で笑う。本当は「おめでとう」と言いたかったけれど。
「はい、もうそんな顔はさせません」
「え? そうね、頼んだわよ」
なんだか素直に受け取られてしまいテンポが狂う。この子には嫌味が通じないのだと瞳は悟った。
「がんばります」
「なんでそんな嬉しそうなのよ……」
「真野先輩に頼まれるなんて光栄です」
「…………」
こんな風に慕われることがなかった瞳は有頂天になりかけた。
「そういえば。あのチーズケーキ、美味しかったよ」
慌てて、取って付け加えたように話題を変える。その感想にほたるは目を輝かせた。
「ありがとうございます。また作ってきますね!」
「う、うん。お願いね」
手を振って蒼一の元へ帰っていく後ろ姿を眺め、瞳は眩しそうに目を細めた。
「――お疲れさまでした!」
部活を終えた蒼一が声を掛けると、振り向いたほたるが嬉しそうな笑顔で迎えてくれた。
「じゃ、行くか」
「ちょっと待っててください」
歩き出そうとした蒼一を制してほたるは武道館の入口に方へ向かった。
「なんだよ……」
彼女の姿を目で追い、その先には瞳がいて蒼一はやわらかいため息を吐いた。
「真野先輩」
ローファーの踵を整えていた瞳は呼び掛けられて顔を上げた。
「何か用?」
「報告に来ました」
「なんの?」
瞳が首を傾げたら「蒼一さんと付き合うことになりました」と嬉しそうに言われてしまった。
「そう。なら、もう蒼の辛気くさい顔を見なくて済むわね」
素直に祝福できず、精一杯の皮肉を込めて鼻で笑う。本当は「おめでとう」と言いたかったけれど。
「はい、もうそんな顔はさせません」
「え? そうね、頼んだわよ」
なんだか素直に受け取られてしまいテンポが狂う。この子には嫌味が通じないのだと瞳は悟った。
「がんばります」
「なんでそんな嬉しそうなのよ……」
「真野先輩に頼まれるなんて光栄です」
「…………」
こんな風に慕われることがなかった瞳は有頂天になりかけた。
「そういえば。あのチーズケーキ、美味しかったよ」
慌てて、取って付け加えたように話題を変える。その感想にほたるは目を輝かせた。
「ありがとうございます。また作ってきますね!」
「う、うん。お願いね」
手を振って蒼一の元へ帰っていく後ろ姿を眺め、瞳は眩しそうに目を細めた。


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