キスから始まる恋は甘くて苦い

 唇にやわらかい感触がして、閉じていたまぶたを押し上げる。眼前には、ほたるがいた。
 
 これって、キスしてきたってことでいいんだよな?

 いつのまにか眠っていたから、正直混乱している。
 
 だけど、こんなことされたら……期待しない方が難しいだろ?

「あっ……えっと……」

 視線が絡むとほたるは急いで体を離した。

「お、起こしちゃいました?」
「…………」

 ごまかそうとしたけれど、蒼一は真剣な目で見つめ返してくる。

 どうしよう、変に思われたかも……

 上手な言い訳もごまかす言葉も思いつかずに、ほたるは顔を逸らすしかできなかった。

「逃げんなよ」
「……!」

 蒼一は強引にほたるを引き寄せた。腕の中に閉じ込め、彼女の体温で夢じゃないことを確認する。

 初めて、ほたるから……

 泣き出しそうになり、蒼一はほたるをぎゅっと抱きしめた。

「もう一回、して」

 普段なら我慢してそんなことは口にできなかったけれど、感情の昂りを抑えきれずに吐息をもらす。
 
「――はい」

 その要求にほたるは一瞬驚き……すぐに目を潤ませた。

 こんなの、好きになってくれたと勘違いしそうだ。

 ためらいもなく重ねてくる唇に、頭がのぼせてクラクラして。蒼一の理性はどこかに吹き飛んだ。