キスから始まる恋は甘くて苦い

 今、キスされるかと思った……

 それが普通のことになって、されないことに違和感を覚えてしまう。

 でも、私はいつも待ってるだけ。

 あと数センチ顔を上げれば唇がふれあえるのに。
 調子に乗ってると思われるんじゃないか、引かれるんじゃないかって……自信がないから受け身で自分からは行動を起こせない。

「よくできました」

 しばらくして蒼一が額を合わせてきた。

「……はい」

 ほたるは詰めていた息をほっと吐き出した。

 胸が苦しい……

 たまらなく切ないこの気持ちは、なんなのかな?

「俺も勉強しなきゃな」

 名残惜しげな目を向けられ、ほたるは唇を結んでうなずいた。そうしないと、なぜか涙がこぼれてしまいそうだったから。
 自分の勉強を始めた蒼一のかたわらで、問題集をひたすら解く。
 理解すると数学は案外おもしろかった。
 公式に当てはめれば必ず答えが出るから安心する。

 シンプルに考えてみる、か……

 ほたるはふと手を止めた。