キスから始まる恋は甘くて苦い

 なんでも似合うんだな。

 はじめて見た私服姿は飾り気がないのに、ドキドキするほど格好良かった。

「ん? できた?」

 見惚れられているとは知らず、再びほたるの隣に座りこむ。

「いえ、まだです」
「慌てないでいいよ」

 蒼一は参考書をパラパラとめくって流し読みを始めた。

「できました。お願いします」
「……うん」

 参考書から顔を上げ、答え合わせをする。今度は間違いがなかったけれど、これだと時間がかかりすぎる。

「数こなして慣れるしかないな。問題集やるから、毎日10問解くこと。いい?」
「はっ、はい」

 先生みたいな物言いに気後れしたけれど、ほたるは問題集を大切そうに抱えた。

「もうひとつ、いいですか?」
「いいよ」

 教えるのは嫌いじゃないので、ほたるの方へ身を乗り出す。

「二次関数の頂点と軸の求め方なんですけど……」
「そこ、マジで苦手なんだな」
「はい……でも、今なら解けそうな気がします」
「なんとなく掴めてきたか? じゃあ、求め方のコツを教えるよ」

 蒼一は真面目な生徒のためにノートにペンを走らせた。

「平方完成したら、カッコの中をゼロにする値をXに入れる。そしたら……」

 説明はわかりやすくて、ほたるは時間も忘れて熱心に彼の話に耳を傾けた。