キスから始まる恋は甘くて苦い

 ほたるはキャベツと玉ねぎ、コーンを使ってコールスローサラダを作ってくれた。

「これ、マヨネーズのほかに何か入れた?」

 味覚が割と敏感な蒼一は、味の感想を忘れて問いかけた。

「はい、ごまドレッシングを少し。……口に合わなかったですか?」
「いや、美味いよ! どんな味付けしたか気になったからさ」

 遠慮がちに聞き返されたので慌てて首を振る。すると、ほたるの顔がほころんだ。

 あ、ちょっと笑った――

 日に日にほたるは表情が豊かになってきた。取り戻してきた、といった方が正しいだろうか。

 それでも、俺にできることは限られてる。

 嬉しいと同時に限界も感じて悔しくもある。

「ありがとうございます」
「いや、こっちこそありがとう」

 けれど、向かい合わせで微笑みあう静かな午後に……今はこれでいいと言い聞かせる。
 部のミーティングで待たせてしまい、遅い昼食になってしまったからか。ほたるは早速手を合わせてカレーを食べ始めた。