だから俺にしなよ

私が走った先には昨日行った、あのカフェだった。

「甘いカフェ…」

昨日はお店の名前なんか見てなかったので、名前を初めて知った。

甘いカフェなんて可愛い名前だな。

_カランカラン

「いらっしゃいませ」

温かい。

昨日の女の人は優しく声をかけてくれる。

つーと頬を涙が濡らす。

「1名さまですね…って、え!?大丈夫!?向こう座ろっか!」

「ふっ、うっ」

しゃっくりのせいで声を上げれない私は、首を縦に振った。

女の人は私を座らせ、落ち着くまで背中を譲ってくれた。

「落ち着いた?何で泣いてたのか教えてくれる?言える範囲でいいから。」 

「はい。」

私は今まであったことを全て話した。

言えなかったことを言うと次第にスッキリした気持ちになった。

「その、すみません。えっと」

「ああ、名前言ってなかったね。私は雨井美桜。どういうふうに呼んでもいいよ。」

「雨井…」

「そう、うちの店と同じでしょ?私が店主だからね」

「え!?そうだったんですか?すみません、時間取らせちゃって」

「いいの、いいの。ちょうど暇だったし。」

「とりあえず、その元彼を連れてきてくれないかな?」

「え…!?」

突然、笑顔で美桜さんは言った。

え、笑顔が怖い…

「一発殴らせて」

「え、それはちょっと」

「こんな可愛い子をよくもっ!」

「落ち着いて!」

今にも飛びかかりそうな美桜さんを私は全力で止める。

「海那ちゃんが良いなら、良いけど…」

やっと落ち着いてくれたみたいだ。

「本当にありがとうございます。」

「海那ちゃん。このことを失敗って思ってるかもしれないけど、これは失敗じゃないんだよ?」

突然、美桜さんが真剣な眼差しで語り始めた。

「運命の人って人生でだいたい2人現れるんだって。」

「一人目は別れるときの辛い気持ちを教えてくれてら二人目は恋じゃなくて愛を教えてくれるんだって。」

「だからね、海那ちゃん。次に進んで2人目の運命の人が現れるまで前向きに考えていこう。前に進もう。」

「2人目の運命の人は絶対に海那ちゃんを迎えに行くから。」 

美桜さんの真っ直ぐな言葉に心を撃ち抜かれた。

確かにそうだ。

人生で恋人が一人しかいなかったっていう人はカッコいいと思ってた。

だけど、一人目のことを前向きに考えて前に進んだ人が二人以上の恋人を持って人なんだ。

「ありがとうございます!少し前に進もうと思います。」

「うん、いいね!また来てね。」

「はい!」

最後に飲んだクリームソーダはスッキリした私のようだった。

明日からは前を向こう。

そう決心した。