『告白するまで、3・2・1』

裕音はそう言い残すと、女子友達と一緒に廊下の向こうへ歩いていってしまった。

一度も、振り返ることはなかった。

「……クソっ」

俺は誰もいない壁に向かって、小さく毒づいた。

お似合い、なんて。

そんなこと、裕音に言ってほしくなかった。

小6のあのとき、噂から逃げずにちゃんと告白していれば。

中1になって、別クラスだからってヘタれて実里と付き合ったりしなければ。

全部、俺が意気地なしだったせいで、ボタンを掛け違えてしまったんだ。

ピコン。

ポケットの中で、スマホが震える。

5組の実里からのLINEだ。

『悠星、今日の放課後、一緒に帰ろ?❤️』

「……はぁ」

ため息と一緒にスマホをポケットに押し込む。

遠ざかっていく裕音の小さくて可愛い後ろ姿が、頭の裏からどうしても離れない。

俺の心の中のカウントダウンは、まだ止まってなんていなかった。

裕音が他の男子を見るたびに、俺の独占欲は静かに暴れだそうとしている。