私と海と電話

 十二月。


 雪が降った。


 放課後。


 叶愛は教室で一人、窓の外を見ていた。


「叶愛」


 想が入ってくる。


「……想」


「今日、電話しない?」


「え?」


「久しぶりに」


「……いいの?」


「うん」


 夜。


 電話が繋がる。


『もしもし』


「もしもし」


『久しぶり』


「学校では会ってるけどね」


『そうだけど』


 少し沈黙。


「……想」


『ん?』


「私、何かした?」


『え?』


「最近、避けられてる気がして」


 想は黙った。


『……ごめん』


「嫌いになった?」


『違う』


「じゃあ、何で?」


 長い沈黙。


『……好きだから』


「……え?」


『叶愛のこと、好きだから』


 叶愛の目に涙が浮かぶ。


『だから、近くにいると変になりそうで』


「……私も」


『え?』


「私も、想のこと好き」


 電話の向こうで、想が息を呑んだ。


『……本当に?』


「うん」


『よかった』


 想が笑った。


 叶愛も笑った。


 でも。


 どちらもまだ「付き合おう」とは言わなかった。


 ただ。


 好きだと伝えられただけで、十分だった。