私と海と電話

 十月。


 文化祭。


 二人のクラスは劇をすることになった。


 叶愛は衣装係。


 想は大道具。


「想、これ持って!」


「はい」


「こっちも!」


「はいはい」


「あとこれ!」


「……俺、一人しかいないんだけど」


「ごめん!」


 叶愛が笑う。


 その笑顔を見て、想も笑った。


 久しぶりだった。


 自然に笑えたのは。


 文化祭当日。


 劇が終わった。


「終わったー!」


 クラスのみんなで写真を撮る。


「想、こっち!」


「ん?」


「一緒に撮ろ!」


「……うん」


 二人で並ぶ。


 シャッターが切られる。


 その写真を、叶愛は大切に保存した。