私と海と電話

 八月。


 友達と海へ行くことになった。


 そこには、想もいた。


「海!」


 叶愛は靴を脱いで砂浜を走る。


「待てって」


「早く!」


「危ないぞ」


「大丈夫!」


 波が足元まで来る。


「冷たい!」


 叶愛が笑う。


 想も海へ入る。


「想、見て!」


「何?」


「魚!」


「どこ?」


「あそこ!」


「……いないけど」


「いたもん!」


「気のせい」


「絶対いた!」


 二人で笑う。


 夕方。


 みんなが帰る準備をしている中。


 叶愛と想は少しだけ海を眺めていた。


「楽しかったね」


「ああ」


「来年も来たい」


「来よう」


「約束」


「うん」


 叶愛は海を見ながら笑った。


 そのときのことを。


 二人はずっと覚えていた。