私と海と電話

 六月。


 体育祭の練習が始まった。


「如月、リレー出て」


「えー!」


「足速いだろ」


「普通だよ!」


 結局、叶愛はリレーに出ることになった。


 想も男子リレーの選手になった。


「想も?」


「ああ」


「じゃあ勝負!」


「何の?」


「どっちが速いか」


「女子と男子だろ」


「いいから!」


「……負けないけど」


「私も!」


 体育祭当日。


 叶愛の出番。


 緊張で手が震える。


「叶愛」


「ん?」


 想だった。


「大丈夫」


「……うん」


「転ばないようにな」


「それ応援?」


「応援」


「もう!」


 叶愛は笑った。


 そして走った。


 必死に走った。


 バトンを渡したあと、振り返る。


 想が走っていた。


「想、頑張れー!」


 叶愛は思いきり叫んだ。


 想がゴールした。


 二位だった。


「惜しかったね!」


「うん」


「でも速かった!」


「……ありがとう」


「何で私に言うの?」


「応援してくれたから」


 叶愛は少しだけ照れた。