男女に友情は存在しない。





専務の部屋をトントンと鳴らすと「どうぞ」と声が聞こえてきた。




1ヶ月に一度会う程度。

お偉いさんだから、そんなに頻繁に会うことはない。






『いつもお世話になっております。瀬川です。突然で申し訳ありませんが、こちらを受け取っていただきたいです。』


と、

専務のテーブルに辞表届を置いた。







専務は辞表届を見ると手に取ることなく、私を見て少し驚いた表情をしていた。





そりゃそうだよね。




悩んでる素振りも、辞める素振りも見せたことはなかったから…






所詮、私が苦しんでいたことなんて知らない人たち。

だからって今までのことを知って欲しいとは思わない。








『お世話になりました。明日以降は有給でお願いしたいです。部長と話をするのが難しいので、専務に伝えさせてもらいます。』






ここの会社はまぁまぁ大きいから、一人一人の顔は覚えていないはずだし…辞めることに関して止めていたらキリがない。




止められても困るけど…





専務は最後に「会社のために働いてくれてありがとう。」と、言ってくれた。






最近で、一番優しい人。






ロビーにいる警備員さんには負けるけど、最終日にして優しい認定します。








『お世話になりました。』







私はそう言って、専務室をあとにした。





その後は、地獄だったけど一応、先輩として部長に話さなきゃいけなくて…






ただただ、憂鬱すぎた。





けど、話せば終わる。

無になって、部長のところへ行くことにした。




飲みに行くほどではなかったけど…仕事を任せてくれたりたまに差し入れをしてくれて優しい先輩だった。





それが、今回の件で見違えるくらい意地悪になって…

人ってこんなに意地悪になれるんだと思うくらい。






『瀬川です。専務に辞表届を提出してきました。急で申し訳ありませんが、明日以降は有給でお願いします』

「今までのことを感謝してくれよな」







最後の最後まで意地悪でいられるなんてほんとすごい。




感謝するわけがない。

最後の最後まで最悪で、バチが当たればと思っている。





私は早々と自分の席に戻ってスマホを手に取って『仕事やめた!』とLINEをした。