男女に友情は存在しない。








スマホのバイブに気づいた沙良は顔を上げた。





「電話?」と、目を擦って眠そうにしている。

申し訳なくて、沙良に対しても目を見られなかった。






目を逸らした瞬間に「なんで、泣いてんの」と言って沙良は私を抱きしめてきた。





そしたら、更に涙が止まらなくなってしまって。

更にどうしたらいいかわからなくて…






でも、抱きしめてもらうのも罪悪感が溢れてくるほど私にとって、新くんのキスは重いものだった。







『ごめんね、沙良』

「どうしたの?太陽、心配してるから連絡してあげて」

『…太陽を裏切ったかも』

「ねぇ、梨紗落ち着いて」






そう言って、沙良は私の背中をずっとさすってくれていて…落ち着くまで何も言わずに抱きしめてくれていた。





途中から過呼吸みたいになってしまって。

目の前にモヤがかかって、このまま死ぬのかなと思った。







むしろ、死んだ方がマシなのかも。








まともに息が出来なくて、息がしたいと思うとさらに意味わからなくなって…途中で来てくれた看護婦さんと呼吸をするとやっと落ち着くことができた。








『私、どうやってここに来たの?』

「◯◯駅で飲んでたの?気を失って、近くにいた女の人が救急車を呼んでくれたみたいで…」







そう言って、沙良は細かく説明をしてくれた。






救急隊の人は太陽に電話をしたみたいで、太陽はアメリカにいて駆けつけられなかったから沙良に電話をして助けを求めたみたいだった。








だから、太陽は私が運ばれたことを知ってるみたい。

なんだか、全部が糸で繋がったような気がした。





誰もが、ママの連絡先を知らなかったから、全部しわ寄せが太陽に行ったみたいで、申し訳なかった。




それに沙良にも。






『迷惑かけてごめんね』






沙良に言ったら笑って抱きしめてくれた。





「何があったか知らないけど…太陽にもちゃんとLINEしてあげて。心配してるから」







なんだか、今の私には電話をする勇気はなくて…





でも、全く連絡しないのは違うからLINEで『迷惑かけてごめん。今沙良と一緒にいるよ』と連絡をした。






そしたら、すぐ既読になって…「電話して」って。



私はスマホをもって一点を見つめていると「梨紗」と名前を呼ばれて沙良に体を揺らされた。





「大丈夫?ぼっとしすぎ」

『沙良、どうしよう』






なんだか、色々なことが頭に浮かんできてまた涙が出て来た。





自分でもわかるくらい不安定だった。

涙が止まらなくて、でもその間に太陽から電話が来た。





心配してくれてるのは痛いほど伝わってくる。

それに対して、答えられなくてもどかしかった。






太陽の電話に出られないでいると、沙良は代わりに出てくれて…






「梨紗、今トイレに行った。落ち着いたら電話するように伝える。」

「うん、大丈夫そう」

「わかった、うん、そうね〜はいはい」






ありたがった。

沙良がいなかったらどうなっていたんだろう。





太陽との電話を切った沙良は「めっちゃ心配してるよ。梨紗は愛されてるね」と言った。






ありがとう、太陽。

この先も私は太陽のそばにいていいのかな。






不安でたまらなかった。







今の私には『ありがとう』しか伝えられなかった。




お医者さんから帰宅してもいい許可が出て、私は家に帰宅した。




家まで沙良が送ってくれた上に泊まると言ってくれたけど…『1人でいたい』と言うと「電話には出てよ」と釘を刺されて帰って行った。





もうありがとう他ない。

こんな私を心配してくれて…





家に帰った瞬間、一瞬にして体の力が抜けてベッドから動けなくなった。





暗い部屋で泣きじゃくっていた。





涙が止まらなくて、止めようとすると止まらない。




もうこのままいなくなりたい。




自分でも、また過呼吸になっているのがわかるくらい苦しくなってしまって…そのまま記憶がなくなった。