高嶺の王子様が幼なじみだった話。

 「今日はこれから、何をしようかな・・・」
 午後の授業も終わり、クラスメイトのほとんどは部活に行ってしまった。私は、特にすることがなくて校内を散策していた。校舎の至る所から、部活をする生徒の楽しそうな声が聞こえてくる。
 私も部活、入ろうかな。前の学校では、特にやりたいことがなくて何も入ってなかったけど、星華学園は部活の種類も多いから楽しそうなのがあるかもしれない。それに、部活動に対して少し憧れもあるし・・・。
 「そこの君、少しいいかな?」
 そんなことを考えながら歩いていると、誰かの声がした。私以外いると思ってなかったから、少し驚いてしまった。
 「何ですか?」
 振り向くと、そこには食堂の時の綺麗な人と伊藤さんと知らないけど、どこか見覚えのある男の人たちが立っていた。そして、全員が国宝級のイケメンだった。
 あまりの美しさに開いた口が塞がらないでいると、食堂の人が、何故か嬉しそうな顔をして口を開いた。
 「やっぱり・・・。やっぱり君だよね、普?」
 どうして私の名前を・・・。もしかして・・・頭にある考えが浮かび、気がついたら口に出していた。
 「もしかして、海くん・・・?」
 それを聞いた彼はとても嬉しそうに、頬を赤くしてうなずいた。
 海くん、本名は神宮寺海斗。私の一つ上の幼なじみで、前の前に住んでいたところのご近所さん。私が小学四年生の時、引っ越しちゃって疎遠になっちゃったけど、また会えるなんて。
 ってことは・・・
 「伊藤さんは、翠くん?」
 「そうだよ。やっと、気づいてくれたね」
 翠くんは、嬉しそうに笑っている。
 「ごめんね。名前を聞いたとき、翠くんの顔は浮かんだんだけど自信が無かったし、すごく大人っぽくなってたから・・・」
 翠くんは、すごくかっこよくなっていた。でも、ちゃんと面影は残っていて、すごく懐かしくなった。
 「僕はすぐに分かったけどね?」
 いたずらっぽく笑った翠くんは、私の知ってる翠くんだった。
 「「あまねぇー」」
 久しぶりの再会に喜んでいると、男の子2人が飛び込んできた。
 「わっ」
 抱き留めちゃったけど、彼らは・・・
 「そうちゃんとそらちゃん?」
 「そうだよ!」
 やっぱり、この可愛さは間違いない。小鳥遊兄弟だ。
 そうちゃんこと小鳥遊蒼太くんとそらちゃんこと小鳥遊蒼空くん。2人は双子で、私の弟的存在だ。引っ越したときはまだ幼さが残っていたのに、見ないうちに大きくなっていた。
 まだ私に抱きついている2人を、誰かが引き剥がした。
 「玲桜くん!」
 「お久しぶりです、普さん」
 綺麗な顔で微笑んだのは、早乙女玲桜くん。そうちゃんとそらちゃんと同じ、私の弟的存在でイケメンという言葉がぴったりな美少年だ。
 「「玲桜、ひどいよー」」
 引き剥がされた小鳥遊兄弟が、玲桜くんに文句を言っている。この光景を見るのも久しぶりだ。昔はよく、そうちゃんとそらちゃんが抱きついてきて、いつも玲桜くんが引き剥がしてのくりかえしだったなぁ。
 「普」
 思い出を懐かしんでいると、今までずっと黙っていた黒髪のイケメンが口を開いた。
 「俺のことは、覚えてるか?」
 不安そうに聞いてくる彼のことも、もちろん覚えている。
 「西園寺波瑠くん、だよね?」
 「あぁ」
 西園寺波瑠くん。クールだけど誰よりも優しくて、ちょっぴり心配性だけど、すごくかっこいい人だ。
 ここにいるみんなは幼なじみで、昔はよく遊んでいた。あと2人いたはずなんだけど・・・。
 「紫音と茜くんは・・・?」
 唯一女の子の幼なじみの犬飼紫音と、元気で明るい日野茜くん。星華学園にはいないのだろうか。2人にも会いたいんだけどな・・・。
 「2人なら、親戚の集まりがあって今日は来てないよ。でも、明日は来るはずだよ」
 「本当!?」
 少し落ち込んだ私に、海くんが教えてくれた。
 また2人と会えるんだぁ。
 嬉しくて、口元が緩んでしまう。
 「みんなと一緒なら、学園生活すごく楽しくなりそう!」
 そういった私に、みんなは笑顔でうなずいてくれた。
 優しいオレンジの光が、私達のことを照らしていた。