高嶺の王子様が幼なじみだった話。

  午前の授業が終わって、私は食堂で一人、ご飯を食べていた。友達はまだ出来ていない。みんなザ・お金持ちって感じで、私と別世界の住人なんだと思う。それに、向こうからも一線を引かれている感じがする。
 それでも、諦める気は無い。友達はいた方がいいと思うし、ご飯も誰かと食べた方が楽しいし、美味しく感じるから。
 「ごちそうさまでした」
 食べ終わって、食べ終わって席を立つ。食器を返そうと、返却口に向かって歩き出したときだった。誰かと、肩がぶつかった。
 「あっ」
 その拍子に、食器が落ちて転がっていってしまう。
 「すみませんっ・・・」
 ぶつかった人が食器を拾って渡してくれたが、私を見てひどく驚いた顔をしていた。私も驚いた。彼がすごく綺麗な顔をしていたからだ。それに、私どこかでこの顔を見たことがある気がする。どこだったけ。思い出せそうで思い出せない。
 「あの、どうしたんですか?私の顔、変なとこありますか?」
 そう聞くと、彼はハッとした後笑いかけてくれた。
 「すみません、少し考え事をしていて・・・」
 変なとこがないなら良かった。安心したけど、一体何に驚いてたんだろう。気になったけど、今は食器を返さないと・・・。
 「それじゃあ私、行きますね。お皿、拾ってくれてありがとうございました」
 笑顔でお礼を言うと、彼は何故か顔を赤くして口をパクパクしている。照れ屋さんなのかな。顔を赤くした理由も気になったけど、私はまた、返却口に向かって歩き出した。
 
 彼女が去った後も、僕はその場から動けずにいた。
 『お皿、拾ってくれてありがとうございました』
 最初は、ただのそっくりさんだと思った。しかし、あの笑顔は彼女そのものだった。
 「普・・・」
 僕の、世界で一番愛おしい人・・・。急に引っ越してしまって、一度も会ってないけど彼女のことを思い出さなかった日はない。
 「名前、聞いておけばよかったな」
 そしたら、普かどうか分かったのに。のんきにご飯を食べてる場合じゃないな。そう思った僕は、彼女のことを探すために食堂を後にした。