高嶺の王子様が幼なじみだった話。

 「こんな感じでいいかな・・・?」
 新しい制服を身にまとって私は姿見の前でくるっと回った。星華学園は制服も可愛い。
 「もう行かなくちゃ・・・」
 時計に目を向けると、7時50分だった。8時には職員室に来てと言われている。寮から校舎までは5分くらいだから、ちょうどいいだろう。
 「いってきます」
 荷物を持って扉を開ける。新しい一日の始まりだ。
 
 「おはようございます、藤岡先生」
 「おはよう、鈴木さん。今日から授業だから、鈴木さんが入るクラスについて少しだけ説明させてもらうわね」
 私が入るクラス、どんな感じなんだろう。考えるだけで、ワクワクする。
 「星華学園では、学力に合わせてクラス編制を行っているわ。上からS、A、B、Cクラスがあって、鈴木さんには、Sクラスに入ってもらうわ」
 Sクラス・・・。それって一番上なのでは。私、勉強について行けるかな・・・?
 「そんな顔しないで、鈴木さんなら大丈夫よ。編入試験の結果を見せてもらったけど、素晴らしかったわ。あなたの学力なら、Sクラスでも上位に入れるわ」
 「そうでしょうか・・・」
 入ると決まったからには頑張るしかないけど、国内トップレベルの進学校である星華学園の、しかもSクラスで上位には入れるだなんて、言い過ぎじゃないかな。
 「じゃあ、教室まで案内させてもらうわね。ちなみに、Sクラスの担任は私よ。よろしくね、鈴木さん」
 「はい、よろしくお願いします!」
 藤岡先生が担任なら、きっと大丈夫だ。さっきまでの不安が少しだけ、和らいだ気がした。
 
 「初めまして。今日からこのクラスに編入することになりました、鈴木普です。これからよろしくお願いします!」
 私が今日から過ごすクラス、1-Sは校舎の四階の端っこにあった。人数は20人くらいで、女子生徒の方が多い気がする。
 大勢の人に見られるのが苦手な私は、自己紹介の最中、ずっとドキドキしていた。
 「それじゃあ、鈴木さんはあそこの空いてる席に座ってちょうだい。教科書とかは中に入ってるはずだから」
 指定された席は、窓側の一番後ろの席だった。太陽の光が差し込んできて、暖かそうだ。座って机の中を覗くと、分厚い教科書が詰まっていた。
 「ねぇ、君・・・」
 声を掛けられて顔を上げると、前の席の人と目が合った。
 「こんにちは。僕の名前は伊藤翠、よろしくね」
 伊藤翠・・・。彼の名前を聞いて、ある人の顔が浮かんだ。幼なじみで、少し大人びていた彼。転勤で、離ればなれになってしまったけど、元気だろうか・・・。
 「大丈夫・・・?」
 伊藤さんが不思議そうな顔でこちらを見てくる。
 「うん、大丈夫だよ。伊藤さん、これからよろしくね」
 そう言うと、一瞬、伊藤さんは悲しそうな顔をした。
 「・・・」
 今度は私が伊藤さんを見る番だった。でも、伊藤さんの顔からは何も読み取れなかった。