悪女の耳飾り

華はシャワーを浴びながら、浴室の鏡に映る自分の姿をぼんやりと眺めていた。

濡れた黒髪が首筋に張りつき、湯気で曇った鏡には、自分の裸体がぼんやりと映る。

(……こういう時、普通の女の子ってどんな気持ちになるんだろ。)

好きな男の家に上がり、シャワーを借りる。

きっと世の中の女の子なら、少しくらいは胸が高鳴るのかもしれない。

(……馬鹿みたい。)

私は何を考えてるんだろう。

華は小さく息を吐くと、べっと舌を突き出した。

鏡の中で、今日開けたばかりの舌ピアスが小さく光る。

じんじんと熱を帯びたように痛むその感覚だけが、妙に心地よかった。

痛みだけは、今も自分がここにいることを教えてくれる。

シャワーで泡を洗い流し、身体を拭く。

バスタオルを胸元で留めると、そのまま脱衣所を出てリビングへ向かった。

「クロさん、シャワーありがと。」

「ああ――……。」

振り返ったクロの動きが止まる。

「……お前。」

視線を逸らすように額へ手を当てる。

「服、着ろよ。」

「そうしたかったんだけどさ。」

華は悪びれもせず肩をすくめた。

「間違えて、ブラもショーツも洗濯機に入れちゃったんだよね。」

「……はぁ?」

クロは呆れたように眉を寄せる。

「お前、何やってんだよ。」

「だって、急なお泊まりだったし。つい、いつもの癖で。」

華はけろりと言う。

「乾くまでこれしかない。」

クロはしばらく黙ったまま天井を仰ぐと、大きくため息をついた。

「……ったく。」