───夜 夜風が優しく頬をなでる 彩花はベランダの手すりに もたれながら街の明かりを ぼんやりと眺めていた あの日までは、夜が怖かった 眠ることも 静かな時間も けれど今は違う 隣にいる人のおかげで 少しずつ夜を怖いと思わなくなっていた 蓮「こんなとこにいたのか」 振り返ると蓮が二つのマグカップを 持って立っていた 蓮「冷えるぞ」 そう言って片方を差し出す 彩花「ありがとうございます」 両手で受け取ると 温もりがじんわりと手のひらに広がった