花束は君を守るために


その時だった


蓮「俺の家がある」


蓮が静かに口を開く

彩花が顔を上げる

病室が止まった

彩花は固まる

医師も思わず蓮を見る

蓮だけが真顔だった


蓮「この前まで住んでた
戻ってくるだけの話だ
俺が面倒を見ます」


彩花は慌てる


彩花「でも…
それはさすがに迷惑かけすぎ――」

蓮は彩花を見て
言葉を遮るように話した


蓮「誰がそんなこと言った。」

低い声
私は言葉に詰まる

そしてベッドの横まで歩いてくる
彩花の前でしゃがみ
目線を合わせた


蓮「まだ傷が痛むんだろ」


私は小さくうなずく


蓮「夜、一人で何かあったらどうする」

彩花「……」

蓮「また我慢する気か」


その言葉に私は返せなかった

駐車場でも
苦しくても
怖くても
ずっと一人で耐えてきた

蓮は静かに続ける


蓮「今回は我慢するな
頼れ、俺を」


その四文字に
私の目へ涙が浮かぶ

医師は二人を見て
安心したように微笑んだ


医師「神崎刑事
よろしくお願いします」


蓮は短くうなずく


蓮「はい」


その返事は、とても力強かった