彩花は力の入らない手で
蓮の手を握り返した
彩花「な……」
かすれた声
彩花「泣かないで……」
蓮は顔を上げる
彩花は弱々しく笑った
彩花「蓮さんが……
泣きそうな顔してる……」
蓮は涙がこぼれそうな
顔を逸らして隠し苦笑した
蓮「…してねぇよ」
彩花「してる」
小さく返す
彩花「だから……
泣かないで」
蓮はその細い手を両手で包み込んだ
蓮「……あぁ」
彩花「それに…
間に合ってなくないよ…
助けてくれてありがと……」
しばらく沈黙が流れる
病室には心電図の音だけが響いていた
蓮「もう、お前を一人にしない」
病室には静かな午後の光が差し込み
二人の間には言葉よりも確かな
安心が流れていた

