何か言おうとする
唇が動く
彩花「……」
でも声にならない
喉が乾ききっている
息だけが漏れた
蓮はすぐに首を横へ振る
蓮「喋らなくていい
先生が来る」
私は小さく頷こうとする
でも首を動かすだけでも痛い
涙が止まらない
蓮はベッドの柵越しに
そっと彩花の手を包んだ
蓮「……よく頑張った」
その一言で
私は堪えていたものがあふれた
涙が次々とこぼれていく
怖かった
痛かった
生きていてよかった
何も言えない
それでもその手を少しだけ握り返す
蓮は静かに微笑んだ
蓮「おかえり」
その一言だけだった
彩花は涙を流しながら
もう一度、小さく手を握り返した
