───翌日
閉店まであと数分
カラン、とベルが鳴った
彩花「いらっしゃいま……」
思わず笑ってしまった
彩花「また神崎さん」
蓮は軽く眉を上げる
蓮「悪いか」
彩花「いえ!
今日もお花買いにきたんですか?」
蓮「今日は1本」
彩花「プレゼントですか?」
蓮「いや
部屋に飾る」
彩花「え、神崎さんの?」
蓮は目をすぐに逸らし店内を見渡した
蓮「だったらなんだ
なんでもいい、お前が選べ」
彩花「なんか…意外です!
それならこれはどうですか?」
私は赤い薔薇を手に取った
蓮「薔薇好きなのか?」
彩花「はい!
それになんとなく神崎さんみたいだから」
蓮「どこが?」
彩花「んー、棘があって怖そうだけど
一緒にいると安心する感じ…ですかね」
蓮は一瞬固まり
すぐにレジに歩き出した
蓮「…そうか
ならそれにする」
お会計
私が薔薇を渡そうとすると蓮が口を開いた
蓮「昼飯」
彩花「え?」
蓮「食ったか」
彩花「……はい」
蓮「何」
彩花「サラダと……」
少し考える
彩花「パンです」
蓮はため息をつく
蓮「それ昼飯じゃねぇ
ちゃんと食え」
私は俯いて苦笑した
彩花「食欲なくて……」
蓮「だから余計食え」
ぶっきらぼうなのに
不思議と嫌な言い方じゃない
彩花「じゃあ明日はちゃんと食べます!」
蓮「“明日”じゃねぇ
今日だ」
思わず吹き出してしまう
その笑顔を見て
蓮はほんの少しだけ表情を緩めた
ほんの一瞬だけ

