花束は君を守るために



───
手術室の前
ストレッチャーが止まる

看護師が蓮へ軽く頭を下げた


看護師「ここから先は」


蓮は静かに手を離す


蓮「……頼みます」


ストレッチャーが手術室へ入っていく

重い扉がゆっくり閉まる

ガタン。

その上の赤いランプが点灯した

手術中

その文字だけが
静かな廊下に光っていた
蓮はその扉を見つめたまま動かない

そして誰もいなくなった廊下で
ようやく壁にもたれかかった

両拳を強く握りしめる
爪が掌に食い込むほど
それでも痛みは感じなかった

頭の中にあるのは
遊歩道で苦しそうに
涙を流していた彩花の姿だけだった