その時だった
信号待ちで停まった
車のフロントガラスに
何か白いものがふわりと落ちてきた
蓮「……?」
蓮がワイパーを動かそうとした
その前に気付く
彩花は窓の外を見ていて気づいてない
一枚の封筒
車のワイパーに挟まれている
さっきまで無かった
蓮は周囲を素早く見回す
人影はない
信号が青に変わる
蓮は一度その場を離れ、
安全な場所へ車を停めた
車を降り、封筒を外す
差出人はない
蓮はゆっくり開封する
中には一枚の紙
赤いペンで、乱暴な字
『まだ終わってない。』
その下には、たった一行
『彩花は返してもらう』
車内に戻った蓮の表情は
さっきまでとは別人だった
彩花が不安そうに見上げる
彩花「……何かありましたか?」
蓮は紙を静かに折り畳む
今見せれば、また彩花は自分を責める
そう思った
蓮「いや」
短く答える
蓮「俺ん家、急ぐぞ」
その声には、
隠しきれない緊張が滲んでいた
車は静かに走り出す
二人はまだ知らない
この一枚の手紙が、直樹の執着が
終わっていないことを告げる、
最初の合図だった
