私は一瞬だけ口を開きかけた
――『警察に言ったら、
お前の周りから壊していく』
直樹の声が頭をよぎると
喉が締めつけられた
彩花「……」
蓮はその沈黙を見逃さなかった
蓮「まだ何かあるな」
ドキッと心臓が跳ねるのが自分でもわかった
彩花「……ありません」
少しだけ間が空く
蓮は私を真っ直ぐ見つめた
嘘を見抜くような目だった
だけど、それ以上は追及しなかった
蓮「わかった」
蓮はメモ帳を閉じ
胸ポケットから出した
名刺を目の前に差し出した
蓮「思い出したことがあれば連絡しろ」
彩花「……はい」
私は名刺を受け取ると小さく頷いた
