花束は君を守るために



信号で止まるたび
蓮は助手席を見る

彩花は苦しそうに
浅い呼吸を繰り返していた


彩花「暑い……」


かすれた声
蓮はエアコンの温度を少し下げる


蓮「これで少し楽になる」


返事はない
額には汗が滲んでいた

蓮は車を安全な場所に
一瞬だけ寄せて止める

ダッシュボードから
未開封のペットボトルの水と
小さなタオルを取り出した

タオルに少し水を含ませ、固く絞る


蓮「少し冷てぇぞ」


額へそっと当てる
彩花がわずかに表情を緩めた
蓮は乱れた前髪を指先でそっと避ける


蓮「熱上がりすぎだ」


もう一度エンジンをかけ
病院へ向かう

(腕にも痣。)

(腰にもあの打撲。)

事故じゃねぇ
誰かにやられている

その確信だけが胸に残った