夏の終わりの花火はきっと美しい

 「じゃあね、優ちゃん」
 いつも通りの笑顔で見送ってくれる累くんを見て、私の胸はチクリと痛んだ。
 「うん、じゃあね」
 その痛みを悟られないように、私は偽りの笑顔を貼り付けて累くんに手を振った。
 本当は、泣き出してしまいそうだった。

 累くんに余命のことを聞いたときは、何かの冗談かと思った。だけど、累くんはそんなことを冗談で言ったりする人じゃないと知っていたし、いつもと違う雰囲気をまとっていたから本当なんだと思った。
 それを受け入れた瞬間、すぐそばにいた累くんが急にいなくなってしまう気がして、強く抱きしめてしまった。累くんが慌ててたのは可愛かったけど・・・。
 私に何か出来ることがないだろうか。そう考えたときに思いついたのが、累くんのしたいことを全力でサポートして応援することだった。
 聞いた時に前向きな答えが返ってきたときは、正直ホッとした。累くんは、この夏を全力で生きようとしているのだ。
 累くんは頑張っている。だから私が落ち込んでいる場合じゃないのだ。
 
 私は前を向いて歩いた。
 泣かないように、目に力を入れながら・・・。