夏の終わりの花火はきっと美しい

 「累くんは、この夏何をしたいかもう決めてる?」
 「うん、ある程度は決まってるよ」
 僕達は、やりたいことリストを作っていた。行き当たりばったりで決めるよりも、ちゃんと決めておいた方が時間を有効に使えるという、優ちゃんの提案だ。
 「じゃあ、この紙に2人で書いていこう」
 「そうだね」
 ペンを握って僕は考える。僕は、今まで出来なかったことをやりたいし、夏らしいこともしてみたい。例えば、学校に行ったり甘い物も食べてみたい。夏らしいことといえば、海、プールにBBQとかかな?後は旅行に行ったり。あとは・・・
 「私、累くんと花火が見たい。毎年、夏休みの終わりにやってるあの花火大会・・・」
 「花火・・・」
 そういえば、生で花火を見たこと、なかったな。
 夏は暑いから毎年、家で過ごしていた。昔、熱中症で倒れたことがあった。あのときは、ものすごく危ない状態になって、死の淵を歩いたのを、今でも覚えている。その後から、夏に出歩かなくなった。
 夏は嫌いだ。暑いから。高揚した様子でイベントに向かう人を見るたびに、何故自分は行けないのかと悲しくなる。しかし、今年は違うのだ。自分もあの中に混ざることが出来るのだ。そう思うと、ワクワクした。
 「いいね、花火。僕も優ちゃんと見てみたいな。」
 やりたいことリストに、花火を見るを追加した。

 やりたいことリストは、こんな感じになった。
・学校に行く
・甘いものを食べる
・海を見る
・プールに行く
・BBQ
・旅行
・花火を見る
 夏らしい、いいリストになったと思う。
 これから、リストを実行していく。これを、全部やることが出来れば、悔いを残さず死ねるのだろうか・・・。