その時だ。
「ねえ君たち!」
だ、誰…?
誰か知らないおじさんがいた。
「は、はい…」
「五つ子だよね!?」
に、苦手なタイプかも…
こ、怖い…
すると、春お姉ちゃんが私の様子に気づいた。
私の前にバッ!!、とでると、そのおじさんをギロッと睨んだ。
「はい。そうですが何か?」
「僕、こんな者なんだけど、アイドルやるつもりとかない?」
ピッと名刺をさしだしたおじさん。
そこには中村 健(なかむら けん)とかいてあった。
アイ、ドル…??
「「「「「…え?」」」」」
私たち5人の声がそろった。
「アイ、ドル…?」
春お姉ちゃんはぽかーんとしている。
「あっ、アイドルっ!?」
夏お姉ちゃんはなんだかうれしそう。
「えぇ?アイドルぅ?」
秋お姉ちゃんは聞き返している。
「アイドルですか…」
冬お姉ちゃんはなにかを考えているみたい。
一方私は。
胸の奥に熱い、苦い思いがじわっ…とひろがっていた。
やばい、かも。
いやだいやだいやだ。
お姉ちゃんたちに、しかもこんなまちなかで…
八つ当たりしちゃうなんて。
そんな思いは私の脳には届かなかったみたいで。
「お姉ちゃんたちがやるならまだしも、私は絶対しないから!!私はもとは生まれないはずだったんだからね!!」
大声でそう叫んだ。



