碧葉はゆっくりと視線を上げた。 遠くに、慌てたようにこちらへ走ってくるマネージャーの姿が見える。 多くの通行人がかがこちらに気づいて、小さく手を振っていた。 好奇の眼差しが体を鋭く突き刺す。 その瞬間、ようやく身体が現実に戻る。 ああ、戻らなきゃいけない場所がある。 碧葉は小さく息を吸い、雨の中を再び歩き出した。 どこへ向かうでもないままではなく。 ちゃんと、戻るべき場所へ。