雨誰を穿つ



楽屋の鏡には、見慣れた男が映っている。


柔らかな焦茶色の髪。

照明を落とした部屋でも淡く光を宿す茶色の瞳。


中学生だった頃より幾分大人びた輪郭は、それでも笑えば幼さを残すのだと、随分と前に誰かに言われたことがあった。



__いつ、誰に。



思い出そうとして、やめる。

最近はそんなことばかりだった。

何かを思い出しかけるたび、心のどこかが静かに蓋を閉める。

忘れたいわけではない。

思い出してしまえば、その先へ進めなくなる気がするだけだった。